父と娘

雑記

私はこれまでデザイナーを名乗ったことがありません。
確かにデザイナーの父から叩き込まれたのでデザインスキルは持っていますが、名乗るのにためらいがあるからです。

一番大きいのは、父の存在です。

京都にて。病気療養中でしたがこの時は旅行に行けるぐらい元気でした。

父は独学でデザインを学び、デザイン会社を設立しました。
高齢になり引退後にもデザインについて相談に来る人も多かったです。
デザインだけではなく、文章・イラスト・絵コンテも描けるし写真撮影も上手い。60歳のころにはWordPressも独学で習得し人に教えられるまでの知識を持っていました。
学ぶことに対しての欲求は年齢を重ねても衰えることはなかったです。そんな父の後ろ姿を見てデザイナーになったのは兄です。
学生の頃から美術部に所属し、美大を何浪もして入学し、現役デザイナーです。

私のプロフィールにも書かれているように、父の会社に勤務していました。

ただ私は、近くで父の後ろ姿を見てきたからこそ、デザイナーにはなりたくなかった。

帰りも遅く家族にも会えない毎日を送ってきた父への反抗だったのかもしれません。
父の会社を退職後、そんな反抗心を抱えたまま上京し、たまたま派遣で紹介されたのが
WEBディレクターだったのです。
父とは違う道へ進み、父の知らない知識を得たかった。

でも結局、父を超えることはできませんでした。

なぜなら、父の方が一枚も二枚も上手だったからです。私が得た知識はことごとく追い抜かれてしまいました。

ただ唯一、父に褒められたことがあります。

物事を客観的に判断する能力

でした。
それは、WEBディレクターにとって、必要不可欠な能力です。それ以外は褒められたことはありませんでしたが…。笑
(…そういえば、私が作成した広告デザインも褒められたことあったっけ…)
最後の最後まで、高齢の父に心配ばかりさせる娘でした。

父は、2019年3月、69歳で亡くなりました。

父の意識がなくなる前日、私の夢に出てきました。私に何かを言っているのですが声が全く聞き取れませんでした。
ただ、口をぱくぱくさせているだけ。
その表情はどこか寂しげでした。

何を言いたかったのか、今でもわかりません。

終わります。